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ココ建築・環境事務所

関西万博リング南部分の水面

関西万博の大屋根リングの南部分は海に突出しているので、津波が発生した時にどういう対応になるのかと思っていた。
検索すると、埋め立ては海面から十分な高さがあるので、津波に対しては安全ですという回答であった。
確かに神戸のポートアイランドでもⅡ期の埋め立ては津波や高潮に対する知見が出てきた時期であったので、Ⅰ期に比較すると高く埋立てられている。
ならば、夢洲においてもそれなりの高さで埋立てているはずなので、水上演出を行っている水面は人工ということになる。
水面はそれとわからないように埋立地の限界まで水面となっている、かなりの面積の人工池である。
シート防水だとするとかなりの面積となり、水の補給も必要と思われるので、国をあげて行う一時的な行事でなければできない仕掛けである。
公式ガイドブックでは、南部分の水面と海との境界はぼかして書いてあり、にわかに人工水面とはわからない表記である。
会場計画として、平坦な埋立地に非日常空間を演出するにあたり、外海でなく会場から近いレベルの静かな水面が必要という判断と思われる。
随所に人工とわからない仕掛がほどこされており、訪れた感触では試みは成功していると感じた。
(2026年月5月8日)

オンリーワンの空間をつくる

兵庫県の企画による県産木材利用の研修会に参加した。
伐採期にさしかかる国産材が豊富にあるので非住宅の建築を増やすための情報を提供するものである。
研修のなかで参加者に課題として保育所の計画が与えられたのでそれを用いて設計にあたっての考え方を紹介する。
保育所に限らずほとんどの建築は事業のなかで活用される。建築は事業目的に対し合理的に造られるべきと思われる。
しかし、与条件がありつつもここにしかないオンリーワンの快適な空間をつくれないかと考えたい。
建築は人間が使用するものであるので、同じであっても中の人が気持ちよく使える工夫を盛り込みたい。
今回は、想定敷地が広かったので平屋の園舎をコの字型に配置し、2つの空間を提案した。
1つ目は、保育所の玄関ホールを交流の場と考え、誰でもがしばらく滞在できるスペースとして提案する。
敷地や規模により、木造準耐火の条件なので、内装の木材は燃えしろ設計としあらわしとすることで温かみのある空間とした。
2つ目は、3方を園舎1方を緑化による囲み空間となる園庭をオンリーワンの空間としたい。
詳細設計まではしていないが、園舎屋根は中から見える5寸勾配とし2歳児以下の園庭と段差をつけ芝生の築山などの要素を配置する。
外部空間は囲みをきっちりつくることにより空間となり、中での子どもたちの運動もよきものとなるような気がするはずである。
研修では、資材調達から木構造や防火の話など多岐にわたり、非常に有意義なものであった。
(2025年月3月27日)

尾道水道を望む文学公園

尾道は地形に恵まれ古くから瀬戸内の良港として栄えてきた。
尾道水道の北、南斜面の傾斜地は数多くの寺院がありその一角に文学公園がある。。
かつて文豪の志賀直哉が短期間ではあるが滞在し構想を練った住居が残る。
住居は14度程度のきつい勾配地の中腹、標高40mに位置し縁側より港を望める。
いわずもがな、文豪はこの景観や季節により移り変わるさまをなんらかの刺激としていたと思われる。
現在は閉館となっているが、質素な住居は自分自身の内面を見つめる機会となったであろう。
その期間も長くは続かず、文豪は次の刺激を求め転居を続けた。
現代でも分野によっては、このようなトラベルワーカーは数多くいるし需要はありそうである。
一方、現代的視点でみると傾斜地の安全性は気になるところである。
傾斜地においては自身の足元の安全と上部から土砂が落ちてこないかの2点について検討が必要である。
斜面は瀬戸内によくある花崗岩であり、防災マップでは地域では、部分的に小規模な山くずれの危険性があるという感じである。
行政も古くから形成された街で、別視点から危険性をマップ化するのはご苦労ではあるが、これからの街づくりには必要であろう。
建築は場所のポテンシャルを活かすべく計画されるべきであるが、その好例であると感じた。
(2025年月2月8日)

出雲街道のおもかげを残す津山市城東六町

岡山県津山市は江戸時代、美作国18万石の城下町であった。
城を中心に町割りがつくられ、現在でも当時のまま残っているところが多くみられる。
城の南西部、城東六町は、出雲街道の宿場の面影を残した地区である。
写真は一般公開さてている箕作阮甫の旧宅とその周辺である。
旧街道を思わせる幅員6m程度の道路に、2段屋根の町家が対する。
高さ1.9mの下段の軒下をくぐると、中の土間は屋根あらわしとなっており垂木や野地板には竹が使われており民芸品のような味わいがある。
高いほうの屋根も軒高も3.5mであり、建物は平屋であった。
平屋であっても前面を2段屋根を施すことで、宿場としてそれなりの格付けを維持したのではないかと思われる。
このような造りは、昔の民家のなつくりでもあり、なつかしい感じもする。
屋根裏が高いことより屋根の輻射熱を遠ざけると同時に風が通る。
話を聞くとこの地区も人口減少によりこのような町家が減ってきているようで、民家は徐々に姿を消す運命なのかもしれない。
しかし、このヒューマンスケールの丁寧なデザインは今の住宅にない親しみがあるように思える。
また、9月下旬よりこの地区で現代アートによる芸術祭が行われるということで、この地域をアーティストがどう扱うのか楽しみである。
(2024年月9月12日)

尾道水道沿いの転活用施設 ONOMICHI U2

ONOMICHI U2は県営の海運倉庫を転活用しホテル、レストラン、売店として2014年にオープンしている。
なんらかの理由で建物が当初目的である役割を終えた場合、その後の処分については2通りある。 建物を解体し建て替えるのがひとつ、次に用途を変更し新たな施設としで活用する場合である。
本事例では転活用可能と判断して事業をすすめたようである。
なるほど、尾道水道に面しておりダイナミックな船の往来を眺めることができるロケーションは得難いし海運倉庫は水道に面した建物群の一員としてふさわしいとも思える。
事業者は公募され建物は公共、内装や運営は民間というスキームとなっているようだが、公共としてはにぎわいスペースが民間資本により実現できれば成功であろう。
デザインは古い施設なのでエージングを活かしたもので統一されている。
外壁などは塗替えしてもよさそうであるが、美装していないのが逆に自然に見える。
内部も黒を基調としてスポットライトによる照らしたいところに焦点をあてたライティングで空間のメリハリを利かしている。
空調計画が最大の問題であるが、ここでは放射冷暖房を利用しているようである。
屋上のスラブがあらわしなので、夏場の輻射熱が心配であるが、珍しい空調方式が機能しているか次回は夏場に行こうかとも思う。
(2024年月6月13日)

都市の記憶を残す高速道地下化

写真は、遠くに横浜を代表するみなとみらい地区を望んでいる。
みなとみらい地区はJR桜木町を玄関口としウォーキング道により現代的なビジネス街につながれている。
また同駅は横浜開港時の記憶をとどめるレンガ倉庫などがある新港地区の玄関口でもある。
いわば、現代と近代の記憶を合せ持つ当地区は横浜のシンボルであり、各種イベントなどを行うビジネスや観光の拠点である。
写真の手前左はホテルであるが、すぐ右側の足元の網の下は首都高速神奈川1号線である。
この区間は、地下高速道となっている。
なぜそうなっているかであるが、横浜市が当地区の都市の記憶をとどめるには高架でなく地下化が必要であると建設を推進する国と交渉した結果実現したものということである。
そのあたりの経過については、田村明氏の「都市ヨコハマをつくる」に詳しいが、その発想に至る過程については不明である。
結果として、当地では横浜らしさを味わいながら仕事をし、余暇を楽しむ機会を実現している。
一般的に大規模構造物をつくる土木と人間視点で考える建築は法体系から入り口でわかれている。
本事例は、人間視点により都市レベルのデザインを実現したまれな好例と思われる。
(2023年月7月16日)

前川國男邸から学ぶもの

 江戸東京都たてもの園内に建築家前川國男邸が復元されている。
 一般的な在来素材も用いた住宅作品であり、以前から一度行ってみたいと思っていた。
 建築家の作品をみる視点として、どこかにオンリーワンの生きた空間があるかであるが、今回は居間がまさにそれにあたる。
 広さ22畳、天井高4.5mで南面は全面開口となっており、在来の素材を用い生きた空間を実現している。
 広がりはパブリック感があり一時は設計事務所としても使われたようで、ここから数々の弟子達を生んだということで、空間が醸成した面もあるかなと思える。
 また、別な評価としてエコロジカルな視点がある。
 南面の開口は隣室よりのセットバックと庇の出の合わせて1.8m軒より入っており、全面開口の建具は高さはあるが柔らかな光が射しこんでいた。
 北面もロフトはあるが全面開口となっており、十分な南北の通風がとれており、夏場はクーラーなしで過ごせる期間を長くとれそうである。
 建築はエアコン頼みの自動車と違い、断熱や通風により住みよい内部環境をある程度はつくれるが、本建築も好事例と思われる。
 ただし、冬場にの暖房についてはすこし工夫が必要かもしれない。
 建設時は社会的に大規模な住宅は建てられなかったようだが、その分シンプルにまとまった建物となっている。
 一般的に和風建築は横の広がりは有するが縦の変化は少ないが、本建築はローコストな在来素材により高低に変化のある建築空間を実現している。
 今日的な課題として、街並みとして外観は協調しつつ内部は現代的な居住空間としたい場合など、応用する可能性を示す作品ともいえそうである。
 (2023年月6月22日)

孤篷庵の特別公開

京都の孤篷庵が7年ぶりの特別公開ということで、あわてて出掛けてきた。
私が行った時間は、すこし列があり30分程度入り口で待った。
人数限定のツアー形式での見学となっており、ガイドの方の丁寧な説明があった。
孤篷庵は小堀遠州好みと言われているが、当初の遠州の建物は焼失し、現存は後に復元されたものということである。
教科書にも載っている有名な場所が、忘筌と呼ばれる茶室である。
西側縁側外側の障子の下部が開放しており、内部から見ると、上部は障子による採光、下部は露地庭という他でみられないしつらえとなっている。
方丈と同一建物に住宅に似たスケール感をつくり、採光方法の工夫によって建物内に異なった雰囲気の茶室をつくり出しており、
パブリックとプラーベートの分離または同居か意図はわからないが、そのあたりの試みは成功していると感じる。
また、通常、閉じる場合の多い西面のしつらえとしても参考になりそうである。
ここでは、外部によしずと障子の2段構えの上で、縁側際の障子を有しているが、西日対策の効果がどの程度かは興味のあるところである。
写真は、同じく特別公開されている興臨院の方丈前庭である。
こちらも見事な庭園であり、昭和の小堀遠州と言われた中根金作の見事な石組みが目を引いた。
昭和の頃には、住宅の庭もこのような京都の庭に倣ってというものがみられたが、
近年、樹木の管理に手間がかかるのと駐車スペースが必要ということで少なくなっている。
しかし、常に、このように自然と一体となった住環境の可能性を見出すべく取り組んでいきたいものである。
(2022年月6月14日)

傾斜地に統合高校を計画する

写真は学校のグランドから校舎と体育館を見ています。
校舎と体育館のポーチはグランドから1m前後上ったところにあり、一見すると特に指摘する点はなさそうに思えますが、実をいうと写っている校舎のポーチは3階のものであり、体育館も2階にあり下に小体育館などがあります。実は、上段の敷地に位置するグランドより下がった敷地に建つ校舎と体育館を見ています。
神港橘高校は、神港高校と兵庫商業高校を統合し平成28年度に開校しました。
敷地は、旧神港高校の敷地をそのまま利用していますが、会下山に登る傾斜にかかっていて敷地は3区画に造成されていました。
各区画は、高低差があわせて7m程度はありそれぞれが分離されたように感じられました。
新校舎の配置は学校を運営しながらの改築工事の関係もあり、下段の2敷地を校舎と体育館、上段をグランドとしました。
本計画の目標として、校舎3階と体育館、グランドとのレベル差を前記の程度に止めることによって、グランドを含めた学校全体の一体感を高めることを考えました。
もちろん、学校内のバリアフリー化も同時に達成しています。
神戸は六甲山の南に展開する街です。海岸線より離れるに従って勾配が増していきます。
計画地のような敷地の造成では、段差の処理に擁壁や法面を加えた工夫がなされますが限界があり、それぞれの区画には段差が残ります。
今回は建築計画による高さ処理が不自然にならずうまく敷地に学校全体が収まりました。
この結果、全体的にゆったり感があり、下に神戸の町並み、上に高取山を見上げ、この地での高校時代を育む環境を整えることができたと考えます。
校舎の詳しい内容は学校の下記ホームページにも掲載されているのでご参照ください。 
https://www.kobe-c.ed.jp/skt-hs
(2021年月10月15日)

夏はハザードマップを確認

夏場になると、大雨による斜面崩落や浸水などの災害について報道があります。
あとで防災マップをみると報道された場所は危険区域に入っており、事前に予測できた可能性があったことがわかることがあります。
以前は、行政でこの場所が危ないなどの情報を出すことははばかれていたようであったが、2000年以降、ハザードマップとして洪水・土砂災害・津波などに分類して公表されており、今では、ネットで誰でも見ることができます。
本来、土地は人が住むべき場所と危ないので住まないほうがよい場所があるはずですが、行政からここは建てられないという強い禁止措置は土地所有者に対する影響が大きいのでとりづらいと思われます。
しかし、住民としてそのような情報が出たのであれば、今すぐは無理でも将来的には場所を移動するか、災害がきた場合でも困らないように対策をたてておくなどしておきたいものです。
なにしろ台風や大雨が降った場合は、家に避難するしかないですし、受難者はわれわれですから。
そこで、住宅を購入したり建てたりする場合は、何十年あるいは何百年かに1回の災害対策まで考えておきたいものです。
大昔から人が住んでいたところはすこし高いが、街ができてから新たな開発された土地は低かったりするからすこしの違いも微妙なところです。
そこまで考えて建物を売る業者は少ないと思われるが、提供者としてはそういう時代になってきたと夏場になる度に感じます。
(2021年月9月11日)

「アイノとアルヴァ二人のアアルト展」について

兵庫県立美術館で開催されている「アイノとアルヴァ二人のアアルト展」を見てきました。
アルヴァ・アアルトはフィンランドで1930~1970年代に活躍した世界的な建築家で、写真でしか見ていませんが、私の尊敬する建築家です。
ここは是非見ておきたいと思ったが、「二人の」とはどういうことなのかです。
館内には男女の仲睦まじい写真が掲げてあります。
すると、二人は夫婦であり、共に建築や家具のデザインを25年間に渡り行ってきたということです。
妻のアイノはアルヴァが世界的な建築をつくる前に世を去りますが、そこに至る過程の二人の共同作業に焦点をあてた企画になっています。
展示をみると最小限住居のプランの考案や家具に使う木材の曲げ加工など、比較的地味で基礎的な計画や技術の検証と思いました。
しかし、バイミオのサナトリウムのサニタリー設備や木製家具など人間工学的な考え方は、巨匠の業務に取組む基盤となったことは想像できます。
後のヴォクセンニスカの教会他の公共建築においての人間の感覚に訴える空間づくりや付随する木製家具など、アアルト作品の萌芽がここにあると言えそうな気もします。
建築家に限らず、人が技術を身につける過程は目立たないが非常に重要ですが、アルヴァにとってはアイノと過ごした期間が、得難い幸運であり必要な熟成期間であったいうのが、企画者のもくろみとなっています。
私も、改めて二人の写真やアルヴァが書いた妻のデスマスクのスケッチを見ると、無名であったアルヴァが年上のアイノと結婚し、先立たれた後に大きく開花する源泉が二人の共同作業であったと考えます。
(2021年8月28日)

クーラー使用室は区切る

猛暑の夏がやってきた。
毎年思うことであるが、なんとかこの猛暑を建築的によって軽減できないものかと思っているが、やはりクーラーに頼らざるをえないのが現状である。
住宅は居間や台所などそれぞれの部屋が関連するようにゆるいつながりながら配置するのが望ましいが、この時期はクーラーの効きを考え、可動間仕切を閉めるなどして空調対象室を限定するのが望ましい。
一般的には、家賃を取るようなオフィスビルでは共用スペースも空調が効いているが、学校など公共建物では、教室にはクーラーが入っているが、廊下などは入っていない。
まして住宅においてはなので、空調の無い部分は風を通す自然換気に頼らざるを得ない。
クーラーの電気代がどれくらいになるか、またクーラーの立ち上がりや通常運転での電力がどれくらいかを見るには、コンセントにメーターを付けて検証ができる。
例では部屋を区切っているので、空調室は小部屋なので電気の使用量はそれほど大きくないことが検証できた。
一方、最近の省エネ住宅では、屋根裏のグラスウールが15cm以上になっている。
その他、外壁やサッシもかなり断熱性能が強化されているので、住んでみると従来とは違った熱環境を体験できるかもしれない。
(2021年8月7日)

雨季の備え

近年,線状降水帯による想定外の雨量という言葉がニュースにでていますが、我が家の雨に備えをどうするのかです。
屋根は大きく勾配を持つ屋根と平らな屋根に分かれます。
勾配屋根では雨水が屋根沿いに流れ、軒先の樋で受ける形なので経路がわかりやすく、どこで障害があるかのイメージがつかみやすいと思われます。
一方、少し管理が必要なのは平らな屋根です。
写真の例は、平らな屋根の端に水抜きのドレンと呼ばれる水抜きの穴を示します。
平らな屋根は100分の1程度の勾配が屋根についており、雨水はドレンと呼ばれる水抜き穴に集められることになります。
ドレンは、土やゴミが集まってくるため穴水抜き穴を塞いだり、雑草が生えたりしています。
このようなゴミは雨季の前や大雨の後に点検し、除いておく必要があります。
穴が塞がれていると少量の雨なら徐々に流れるか乾きますが、大雨が降ればあふれ、急な対策が出来ないことなどありそうです。
ただし、屋根に上がる経路が無く、はしごが必要な場合などは、無理をしないか専門業者に依頼するほうがよいかもしれません。
雨水は竪樋を落ちた後、敷地内の溝あるいは排水管を通り敷地外に流れますが、地上の経路についても確認しておいたほうがよいでしょう。
雨漏りはその他、強風によって外壁より侵入する場合もあり、その場合は外壁改修などの方法を検討する必要があります。
建物は出来てからは所有者の管理に委ねられます。大雨の備えもあらかじめ考えておきたいものです。
(2021年7月17日)

古い擁壁と付き合う

石積み擁壁の民家が倒れてニュースとなっていましたが、敷地内に古い擁壁がある場合の付き合い方について考えます。
一般的に擁壁は上段に建つ建物の所有者の財産であると考えられるので擁壁の管理責任も加わると考えられます。
昔からその土地を所有しているなら別ですが、新たに購入した場合、建物はよく考えて購入したが擁壁がついていたとは知らなかったとなりがちです。
建物も同じですが、擁壁についても建設当時の経済状況により造られ方はさまざまです。
昔から都市ではさまざまな造成が行われてきたと思われますが、技術面での規制が始まったのは、宅地造成を扱う宅地造成規制法は昭和36年なので戦後と思われます。
今、造成を行うなら、宅地造成規制法や地方自治体の条例などで安全に工事ができるよう役所等より指導がありますが、それ以前の造成の場合、擁壁の健全性を証明する手立てがありません。
そのような状況を踏まえ古い擁壁とどう付き合うかです。
気が進みませんが、擁壁の管理責任を受け入れるしかありません。
施工が悪く危険性がある場合は、それを回避するのが第一と思われます。
財産として気になるのは、建物が建つかどうかです。
危険であれば、改築と同時に擁壁を直すのがベストですが、健全ならば擁壁に影響が無いように離して建てるなどして法尻より30°の勾配を引きそれ以下の地盤に基礎を入れるなどの措置を行うことで擁壁に影響が無いようにして工事を行うこともできます。
大地震の際、建物が壊れる要因として建物そのものが壊れる場合の他、地盤がくずれることで壊れる場合もあります。特に木造建物は基礎が簡易なものなので影響は大きくなるので地盤の健全性はおろそかにはできません。
行き止まりのようになってしまいましたが、傾斜地に建てるということは擁壁と長く付き合うということになりそうです。
(2021年7月3日)

気持ち良いスロープ

昭和の時代は家や建物の中には段差がありましたが、平成に入る頃よりバリアフリー化ということで、障がい者やお年寄りが往来しや易いようまちの改造が進んでいます。
もちろん、バリアフリー化は一般の人にもありがたいことで、かつては車道脇の歩道もかなりの段差があり、通行しづらい状況もありましたが今では自転車で通れるくらい平坦になっています。
しかし、スロープは建築を考える上では、難問です。
というのも、スロープ勾配に規制があり標準の12分の1をとるためにはかなりの長さを必要とします。
場合によっては、折返してこないと登れないということがおこり、一般の人と導線が分離してしまいます。
また、12分の1であっても長くなると登るのが大変になり、少しでも勾配を減らすことが望まれます。
そうしたなか、住吉小学校の校舎からグランドに降りるスロープはうまくできました。
平成3年度の南・中校舎の改築の際、既存の北校舎より南グランドへ出るルートが必要となりました。
そこで、改築校舎の1階の2スパンを開放通路としグランドへ直進し、グランド手前で約1mの段差を12分の1勾配で下ろしました。
住吉小学校はグランドがすばらしい。広さに加え立派なクスノキが何本もあり、居るだけで大地の生命力を感じる空間となっています。
児童はグランドと校舎を行き来する際、中庭や南校舎をくぐりスロープを上り下りしながら移動します。
変化を体験しながら公園のような校内を巡ったことが小学校時代の思い出として残ってほしいと思います。
地域は神戸市でも下町にあたる地域なので敷地の段差が小さいことも幸いしましたが、児童の導線を良くするためのスロープの出来栄えが印象に残っています。
(2021年6月26日)

公共建築はわかりやすく

学校のような多くの人が出入りする建物では、建物利用者が自分の居る位置がわかるように計画を行うことが重要です。
誰もが経験があると思いますが、建物内で何度か方向転換を行うと、自分の居る場所を見失います。
一旦、そうなってしまうと立ち直ることが容易でなく建物の全体イメージがつかみにくくなります。
実体としての建物とは別に、使用するため人は頭のなかに建物イメージが出来上がると思われますが、 公共建築においてはそのイメージづくりが容易なものが良い建物であると考えます。
葺合高校の基本計画では、玄関より入る東西に長い本館棟の1階廊下を広くとりホールのような感じとしています。
北面を中庭に面することで方向も確認でき、この廊下を建物イメージの軸と位置付けています。
廊下の行き止まりには各階に通じる階段とエレベータを設けています。 階段は上は最上階、下は地下に通じ、1段下がった南側のグランドにもバリアフリーで通じています。 この階段とエレベータが校舎内移動の中心として利用者のイメージづくりを補強します。
事務所などの建物ではエレベータが導線の中心ですが、学校においては生徒導線である階段が主役となります。
また、校舎全体の主たる導線は玄関前のホールを含んだロの字型となっています。 ロの字の中心は中庭として整備し利用者はそれを見ながら回遊できます。
いま、玄関前のホールは、現在、中庭側に勉強机が置かれていて、放課後に生徒が自主勉強を行っているということです。
職員室前でもあるので気がついた先生が指導を行うスペースとして活用されているようです。
計画時に想定していなかったことですが、オープンスペースが有効に活用されていることは大変喜ばしいことと思います。
(2021年6月21日)

自然換気ができる家

新型コロナウイルスの流行により、部屋の換気をどうするかが話題となっています。
素早く換気をするにはどうするのか、実験を行った結果、換気の入り口と出口をそれぞれ部屋の反対側に設け、気流を1方向とすることで素早く換気ができるということが報告されていました。
そこで、我が家は自然換気ができる家となっているでしょうか。
家庭用エアコンが普及して既に30~40年になります。住宅を始めとする建築物には冷暖房ができるエアコンが折り込み済で建設されています。
温度については部屋内の空気を循環するエアコンが受け持つことになり、平成15年にシックハウス対策による機械換気の義務化はあったものの、換気の重要性は低下していました。
やはり、エアコンも付いているが自然換気もできる建物にしたいものです。
外気は常に動いています。その動力を利用して室内気候を調節してはいかがでしょうか。
そのためには窓は建物の反対側にそれぞれ必要となります。また多少の雨が降っても開放できる軒の出や庇が必要となります。春秋の中間期はそれだけで部屋の気候を調節できます。
風向きについては、場所によって快適な風が吹く方向があり気象データを調べるか地元の人に聞くのがよいでしょう。
私の住んでいる瀬戸内では海あるいは陸からという南北の風を取り入れるると快適な風が入ってきます。
また、建物は新築ですべてが決まる訳ではなく改修によって良くするということもできるので、換気ができなくなっている場合は空気の通り道をつくる改修も良いかなと思います。
(2021年5月29日)

最強の家をつくるには

近年、地震や台風に壊れない安全な家が求められています。
メーカー住宅なら安心と思うか、あるいはセールスマンの大丈夫の声を信用するか迷うことだと思います。
一般的に建物は法令に従い、最低限とされる建築基準法に従って建設され、指定確認機関の検査を受けるのでそれなりの安全性は確保されていると思われます。
気になるのであれば、木造建築物なら地震に抵抗するための壁量がどの程度、入っているのかは確認申請書を見ればわかります。
しかし、近年、想定外と言う言葉がしばしば使われます。我が家はもっと安全でありたいと願う方はどうすればよいでしょうか。
一例として私の設計した住宅をあげます。
重量鉄骨造で構造計算を行い、使用材料に余裕を持たせる設計を行い、法令の水準の1.5倍程度の強度を確保しました。
構造計算を行うので、どの程度強くしたいかは発注者が決めればよいのでそれに従って計算を行います。
少しのぜいたくを安全にかけるという選択肢は十分検討に値することと思います。
例では内装費を絞り概ね通常の住宅の建設費に抑えました。
当事務所ではオンリーワンの住宅やビルを持ちたいという方のため、幅広い選択肢に対応します。
(2021年5月22日)

屋上を活用するには

20年以上前になりますが自宅を設計しました。勤務しながらの設計でしたが、狭小敷地に3階建てを建てる経験もしたかったこともあります。
細かい反省点はいろいろありますが、現在、最も気に入っている点は、屋上よりの眺望です。
一般的に屋上は使いづらいです。夏は暑いし冬は寒い、日差しも心配で長時間はなかなか出られません。
そのうち足を踏み入れる機会が遠のいていましたが、ある日から状況が変わりました。
何年か前から健康のため、夜に周辺を軽く走っていました。走り終わると体操を行い近視の防止のため星や遠い看板などを見ていました。
静かな街中ではありますが道端ではすこしは周囲も気にはなっていました。
帰り道、ふと考えたらうちの屋上があるではないかと気が付きました。
急いで上がると、周辺は住宅地なので眺望が広く、遠く明石海峡大橋や神戸製鋼所が見えます。
こんなにもうちの屋上から見る空が広いのかと改めて気付かされました。
現在は雨の日以外は屋上で体操をし、山陽新幹線の窓の灯りがかすかに見えることで視力のバロメーターとしています。
自宅のなにかを生活習慣の中に取り入れることは、重要なことと思います。
最近は新型コロナウイルスの影響で家に居る機会が増えていますが、オンリーワンのなにかを家につくれないかを考えます。
例えば周囲に影響の無い状況で趣味ができるとか、緑を取り込むなどできないかとか。
それぞれの夢を実現するため、ココ建築・環境事務所がお手伝いができないかと考えています。相談だけでもよいので、よろしくお願いします。
(2021年5月15日)

ココ建築・環境事務所の令和3年度の目標について

当事務所の、今年度の目標は「クライアントの要望を実現する」とします。
建築は、住むとか仕事をするとか様々な目的のために建設されます。その目的のなかには個別の要望がさらに細かく含まれていると考えます。それらにできるだけ応えて行きたいと考えます。
私もこれまで経験してきた仕事においても様々な要望があり、できる限り要望に応えてきました。ご相談いただきましたら、当社ができることを提案します。
一方、建築は存在することで、外観や音など周囲に対し影響を及ぼします。建物は市街地のなかの都市の一員でもあり、手掛ける建築は周囲に好印象を与える存在でありたいと考えます。
また、建築は財産でもあります。長期間、良好に使用できるため価値を損なわないものでありたいと考えます。
以上、「社会的存在としての建築」を保ちつつ「クライアントの要望を実現する」という点は基本的な課題と考えます。
また、既存建物のリフォームも重要と考えます。建築は「ちゃんとしている」という状態であり続けることが長寿命化につながると考えます。
場合によっては、リフォームによって新築時より価値が上がる場合もあると考えますので、改修工事についてもご相談ください。
(2021年5月5日)